HOME >>旅の思い出話 >> 意外な出会い?!「青春18きっぷ」でいく鈍行列車の旅
私がJRの「青春18きっぷ」で鈍行列車の旅をしていたときのことである。鉄路は紀勢本線、私は名古屋から紀伊半島をぐるりと回って那智へ向かっていた。
私はすいた列車の席でひとり車窓により、そこに広がる海辺の光景を楽しんでいた。私は旅行では人との出会いよりも自然に親しむほうを楽しみにしていたのだ。
そこへ70近いと思われるおじいさんが、私の席の向かいへやってきて私に話しかけた。相手はごく地味などこにでもいそうなおじいさんである。車窓の風景を楽しんでいた私は話しかけられて、かなり迷惑な気分でいた。
ところが話をしているうちに、このおじいさんは大変面白い経歴のひとであることがわかってきたのだ。一見ただの田舎のおじいさん、ところがこの人は若いころ、大志を抱いて、アメリカに移住してそこで暮らしていたことがあるというのだ。
私はアメリカかぶれの英文科の大学生だったので、その話を聞いてがぜんそのおじいさんに興味を持ってしまった。
そのおじいさんは、自分がアメリカにすんでいたことがある証拠にぺらぺらと英語でしゃべってみせた。それだけでなく、アメリカでの体験談の面白いこと面白いこと。
アメリカでは結局、成功できなくて、やがて日本の故郷に戻ってきたというのだが、こんな紀伊半島の田舎の一見なんの面白みもないようなおじいさんにそんな人生があったということが、人間ってわからないものだなあ、と若い私には驚きであった。美しい自然もいいが、旅の醍醐味はやはり人との出会いにあるのだろうか。